不貞行為に関するQ&A
不貞行為に関するQ&A
Q不貞行為とは何ですか?
A
不貞行為とは法律用語であり、厳密には「不倫」という言葉とは内容が異なります。
不貞行為とは、配偶者のある者が、婚姻外の異性と自由な意思のもとに性的関係を結ぶことです。
つまり、性的関係を結んだかどうかが重要になります。
キスをしたり、胸を触った、という事実のみでは不貞行為は認められないのが一般的です。
また、不貞行為は、相手方と合意があったかどうかは問題となりません。
したがって、合意に基づかないで性的関係を結んだ場合(強姦行為など)の場合も、加害者は不貞行為をしたことになります(被害者は不貞行為にはあたりません)。
同性と性的関係を結んだ場合も不貞行為は認められないと考えられています。
不貞行為は、離婚の事由に該当する(民法770条1項1号)ほか、慰謝料請求の原因にもなります。
Q既婚者と知らなかった場合でも,不貞行為の責任を負うのですか?
A
1 損害賠償責任の法的根拠について
自らの配偶者と不貞行為を行った相手方に対して慰謝料の請求をする場合、その請求の法的根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求権(民法第709条)です。
不法行為責任が生じるためには、加害者に故意または過失がなければなりません。
したがって、不貞行為の相手方は、配偶者が婚姻関係にあったことを知っていたか、または、知らなかったことについて過失があった場合にのみ、不貞行為についての損害賠償責任を負うことになります。
ですから、不貞の責任を負わないためには、「既婚者と知らなかった」だけではなく、「既婚者と知らなかったことについて過失がなかった」ということまでいえる必要があります。
2 裁判となった場合について
不貞行為による慰謝料請求について裁判となった場合、請求をする側が、不貞行為の相手方が「既婚者と知っていたこと」や「既婚者と知らなかったことについて過失があったこと」を証明する責任があります。
不貞行為の相手方が、配偶者が婚姻関係にないと信じていたことについて過失がなかったと判断された裁判例として、終始独身であると偽られていたもの、お見合いパーティーで知り合ったものなどがあります。
不貞関係を続けるうちに既婚者であることを知った場合、知ったとき以降は不法行為が成立しますので、注意が必要です。
また、既婚者と知らず、知らなかったことについて過失があったにとどまる場合には、慰謝料額の減額要素として考慮されることがあります。